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海Ⅲ

 相手が必死な場合、闇雲にしがみつかれて身動きとれずに二人とも命を落とすことも多いので注意を要する。





 「自分(カップルの男性)は、少しは泳げるな!」



 「はい」



 意外と冷静だ。



 女性は「たすけてくださ~い」横で相変わらず震えながら叫んでいる。



 「お嬢さん、我ら三人が来たからにはもうご安心を(^^)」



 正気に戻そうと思い、三銃士ばりの口上と共に微笑みかけた。



 すかさず友人が「二人しかおれへんやん」と突っ込む。





 変わらず血走った目で「たすけてくださ~い」と叫び続けている(・・;)





 すべってる。





 言った自分が恥ずかしくなり、

 波間で「わらってよ~」と小声で愚痴ったことを思い出した(●´ω`●)。



 女性にとっては、お笑い三銃士にも見えてないようである。

 



 「まず、女の子を浮き輪にくぐらせてあげて」と彼氏に指示。



 そうしないと、我々が近づいた瞬間に首にまとわりつきそうな形相である。



 彼氏が「カオリ(仮名)、手を離して浮き輪を身体に通して」とやさしく言っている。



 「いっや~、手を離したらおぼれる(`ヘ´) 」



 なかなか、おてんばさんのようである。





 すると友人が、



 「彼氏くん、チューでもしたれや」



 全くもってたちが悪い。



 「あほなこと言-なや(–#)」



 「そ-かて、△▲▽(映画の題名)ちゅうやつで、興奮した女の子にキスしたら落ちついとったでぇ」



 「俺もその場面みたわ!えっ、あれは気を失ったんとちゃうんか?」



 まったくもって、のんきなものである。とお思いでしょうが、我々も必死。



 女性が正気になってくれなければ、近づけない。



 目の前で、普段と変わらない馬鹿話をすることによって、極度の緊張状態を打開しようと試みているのである。



 「彼氏、どっから来たん?」



 「岡山です。」



 「岡山ゆうたら、桃やろ、マスカットやろままかりやろ。うまいもんだらけやん」



 「お礼は、桃がええなぁ」



 いくらか、こんな井戸端会議的な会話を繰り返していると、



 女性は笑いはしないが、



 「たすけてくださ~い」の叫び声が、



 「ありがとうございます」に変わった。



 目つきも少し穏やかさが出てきた。







 「そろそろいこか」



 友人に目配せしながら近づいていった。



 <<つづく

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